第37話「敗者復活戦、開始」 FFのベスト16まで勝ち残った雷門中の前に現れた、チーム:キメラ。 彼らとの練習試合に臨んだ雷門は、『パーフェクト・ミッション』に苦戦し、4−0で敗北した。 そんな中、関東地区でのFF・敗者復活戦が始まろうとしていて…。 *** −稲妻町− ガストの店内の一番奥、隅っこの席で鬼瓦は煙草を吸いながらイライラと足を動かしていた。 そして、先程から何度となく左手を顔の前に持って行き、時間を確認する。 騒がしい店内。家族連れ、カップル、友人同士、サラリーマン…様々な客が来店しているが、鬼瓦はその中でかなり浮いていた。 何度目かの「遅い」を口にしたところ、漸く待ち合わせしていた人物…安井と臼井が現れた。 安井「すみません…遅くなっちゃって。」 ペコペコと頭を下げながら、鬼瓦の正面に座る。 悪さは何回かして、少年課のお世話になっている2人だが、刑事に呼び出されたのは初めてである。 ヘラヘラと謝ってはいるが、その目には警戒の色が見えた。 特に腕組みをして座っている、兄貴分の方は。 鬼瓦「いや、構わんよ。…それより、腹減ってないか?金は俺が払うから、好きなものを注文して良いぞ。」 臼井「マジッスか!?」 鬼瓦の言葉に、背の低い弟分の方…臼井が、目を輝かせる。 安井の方も、入って来た時よりは幾分か警戒心を解いているようだった。 こういった場所に呼び出した以上、多生の出費は仕方あるまい。 だが、食べ物で不良少年の警戒心を解くのは、ベストではないがベターな方法だ。 経費は落ちないから、これは鬼瓦の自腹である。 注文した直後に話しかけるのは得策ではない。 2人の注文した品が運ばれて来た頃、鬼瓦は決心して不良達に話し掛けた。 鬼瓦「食べてるところ悪いんだが…。」 ひたすら肉を噛んでいた安井が顔を上げる。 その目にはもう警戒心はとうの昔に消え去っていた。 鬼瓦「君達…もう一度詳しく教えてくれないか?ジョーカーを見た時のことを。」 その言葉に機嫌を悪くしたのか、ナイフを置き、安井は窓の外へ視線を移した。 安井「…ないッスよ。話すことなんか。この前別の刑事さんに全て話しましたから。」 鬼瓦「(別の刑事?)いや、それでもいい、その刑事に話したことを俺にも聞かせてくれ。」 身を乗り出して叫ぶ鬼瓦を不信に思ったのか、渋々といった感じで首を振りながら、安井が話し出した。 その殆どは既に鬼瓦も知っている情報…お目当ての『フードの男』に関する情報はない。 鬼瓦「他に…何か覚えていないか?例えば事件の前後に、怪しい人物を見たとか…。」 さりげなく聞いてみると、2人組は暫くの間記憶を辿るように宙を睨んでいた。 臼井「あ…安井さん、そういえば怪しい奴いましたねえ。」 安井「?いたか、そんな怪しい奴。」 臼井「いたじゃないですか、ホラ、安井さんが自販機の下の小銭を漁ってた時に、コーンスープを買ってた…。」 その言葉に安井の顔にも変化が現れる。 安井「ああ、あのフードを目深に被った奴な。」 鬼瓦「どんな奴だった?」 再び鬼瓦が身を乗り出す。 安井「えーと…確かオレンジ色の服で…背中に文字が書いてあったな。東京なんとか。英語で読めなかった。」 臼井「安井さんは英語が苦手ですからね〜。」 嘲笑する臼井の頭を軽く小突く。 鬼瓦は徐に警察手帳を取り出し、一ページを引きちぎると、安井達の前に差し出した。 鬼瓦「なんて書いてあった?此処に思い出して、書いてくれないか?」 2人はかなり時間をかけながら、ゆっくりとペンを動かす。そこには、汚い字で『ELEMENTS』と書かれていた。 鬼瓦「ありがとう。(『東京ELEMENTS』といやあ…まさか!!)」 鬼瓦の頭の中で、中学校連続爆破事件の最中に起こった、ある事件が思い出された。 鬼瓦「君達…このことをその刑事に話したか?っていうかその刑事の名前わからないか?」 安井「話してないよ。名前?…ああ、有働って言ったかな。ムカつく奴でさ、まともな人間になれだの学校をサボるなだの、説教されたよ。おっさんの方が遥かにマシだよ。」 ヤハリ有働警視も気づいていたようだ。だが、手札は此方の方が多い。何故なら、フードの男と東京ELEMENTSの関係を調べることが出来るのだから。 鬼瓦は有働を出し抜くチャンスに喜びを隠しきれなかった…。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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