イナズマノベル2

第三十四話

第34話「BELIEVE YOURSELF」

雷門中の新たなストライカー、闇野 カゲトことシャドウは、悲しい過去を背負った少年だった。

豪炎寺の加入により、焦り始めた彼は、徐々に秘めていた闇を制御しきれなくなっていた。

そして、シュルトケスナー藻と、鬼瓦達がシャドウの過去を暴露したことで、遂に歯止めが効かなくなり……。

***

「(此処は一体…。)」

上も下もわからない、底無しの闇…。

「(今何が起きているんだ…?)」

自分が起きているのか、眠っているのか…いや、それ以前に生きているのか…?

『シャドウ』の意識は、闇の中を当て所なく彷徨う。このまま闇人格に乗っ取られて、本当の自分は消え去ってしまうのか…。

海を彷徨い浮き沈みをするように、時折意識が闇人格のそれの表層部分まで浮かび上がり、視界が開けることがある。その際見えるのは、自分が仲間達を傷つけている光景…。

自分でももう一人の人格の暴走を止められない。止めたくても、それが出来ない苦しさ…。

やがて意識は、完全に闇の奥深くに沈んでいき…。

***

豪炎寺「すまない…シャドウ!」

炎の魔神を召還し、その巨大な掌に飛び乗る。魔神に投げ飛ばされた豪炎寺が、螺旋状の炎のシュートを叩き込む…。

シャドウ「……おい、シャドウ。こいつを潰せば良いんだろ?この炎の奴を潰せば…お前の恐怖心は消えるんだろ?」

今までのシャドウとは違う、低く響く声が発せられる。

それと同時に、闇のオーラがシャドウを包み込み、漆黒の魔神が形成される。シャドウの目が怪しく光り、魔神に乗って飛び上がる…。

シャドウに闇の魔神が吸収され、力の込められた両足でボールを蹴るっ…!

ボールに纏った一番太い闇の螺旋を中心に、周囲に4つ、計5つの鋭い閃光が『爆熱ストーム』と激突する。

紅と黒の究極奥義が激しくぶつかり合う。

だが、先の紅白戦同様、いや、それ以上の力で豪炎寺の技が押されていく。

闇が紅蓮の螺旋を浸食し、5つの竜巻が豪炎寺を、そして炎の魔神をも貫く…!

体制を崩した豪炎寺が地面に落下、ゴミ同然にシャドウの足元に転がった。

シャドウ「立てよ豪炎寺…。まだお前との決着はついてないぜぇ…。」

後ろ髪を掴んで無理矢理立たせると、豪炎寺を思い切り蹴り飛ばす。

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