イナズマノベル2

第三十一話

第31話「闇の力・悪魔の呼び声」

雷門と同じく激戦を繰り広げるライバルチーム。

漫遊寺と戦う帝国学園は、謎のペンギンシュートで勝利するも、フットボールフロンティア準優勝校・世宇子中は、不動達の前に敗退した。

その夜シャドウは、影山の部下を名乗る男たちに拉致され…。

***

−某所−

シャドウ「ぐ…。」

闇野 カゲトは、煌々と灯りの点いた部屋で目を覚ました。

天井は低く、白い壁に、何か薬品のような物が置かれた棚。

質素な作りの部屋、そこの隅っこにある椅子の上に、シャドウは縛られていた。

シャドウ「此処は一体…。」

服の上に白い布を巻かれ、手足をぐるぐる巻きにされており、唯一自由な頭を揺さぶって記憶を辿る。

シャドウ「そうだ…俺は、錬山って男と話をして…それから…。」

錬山「目が覚めたかね?」

突然ドアが開き、白衣姿の錬山が姿を現した。

シャドウ「なんだ貴様…何故俺はこんなところにいる?」

錬山「私達は君に力を授けるため、此処に連れて来たのだ。誰にも負けない力を…。」

錬山と数名の男が部屋に入ってきて、シャドウを立たせ、歩かせる。

長い廊下を、先頭を錬山に、シャドウを取り囲むようにして研究員風の男、黒服が続く。

シャドウ「(チッ…これじゃまるで囚人だな…。」

前を歩く錬山の薄くなりかけた頭頂部を睨み付ける。

この男達が何をしようとしているのかはわからないが、無言で歩く彼らの、軽い足音の他に、ゴーッという唸るような重い音や雑多な音が天井から響いてくることが気になった。

錬山「着いたぞ。」

不意に錬山が立ち止まり、重いドアを開ける。

黒服達に促され、その部屋の中に入ったシャドウは驚いた。

先程閉じ込められていた部屋同様、薬品の陳列棚が置かれ、精密機器やコードがあちこちに配置されている。

シャドウ「何だ此処は…。」

部屋の中央に置かれた、4つの水槽を眺めながら、シャドウが問う。

その水槽は緑色に濁り、水面には泡と共に海藻のような物が浮いている。

4つの内左から3つの水槽には、細長く、ゴポゴポと水泡を吐き出す『何か』が入っていた。

シャドウの視界の先、水槽の前に錬山が立つ。

錬山「驚いたかね?これこそが、君に誰にも負けない力を与えてくれる魔法の泉…。」

シャドウ「魔法の泉だと?」

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