イナズマノベル2

第二十九話

第29話「表の王者VS裏の王者」


フットボールフェスティバル…それは、影山が主催した大会だった。

五回戦の対戦相手・石ノ森SCのキャプテンからその話を聞いた円堂達は、動揺を隠せなかった。

更に話を聞こうとするが、口封じに現れたジョーカーによって石ノ森は倒されてしまう。

ジョーカーが去り際に残した言葉や大会の目的など、幾つかの謎を残したまま五回戦は終了した―――。

***

−埼玉県内某所−

廃工場の敷地内を走り回る少年達。

傷や泥だらけになり、何度も転びながら、何かから逃げるように走る。

錆びたタンクの裏、使い古されたトラックの下などに隠れて、何かをやり過ごそうとする。

手放されてから誰も手入れをしておらず、伸び放題に伸びた雑草を踏みしめ、辺りを見回す。

やがて、彼らが恐れる『何か』が、黒と白のサッカーボールと共に上空から迫ってくる。

ジョーカー「『メテオアタック』…。」

隕石のように落下してきたそれを避けきれず、1人が押し潰された。

フレイム「きたろう!」

地面にめり込んだ『きたろう』と呼ばれた少年を踏みつけながら、ジョーカーがその姿を現した。

ジョーカー「『きたろう』『フレイム』『貫太郎』…貴様らは邪悪な人間によってネット上で生を受け、多くのプレイヤーを混乱させた…その罪、万死に値する…。」

フレイム「な、なんの話だよ!」

フレイムという赤い髪の少年が、青ざめながら反論する。

ジョーカー「貴様らはガセキャラであり、元々この世界に存在する筈のないキャラクターだ…潔く裁きを受けるがいい!」

ジョーカーがボールを転がしながら歩み寄る。

ジョーカー「『ライトニングアクセル』。」

光のような速さでジグザグに動き、フレイムと貫太郎を突き飛ばす。

フレイム「この…『ブレイジングカット』!!」

炎の衝撃波でジョーカーを近づけまいとするが、即座に『透明フェイント』で交わされてしまった。

貫太郎「消えた!?」

貫太郎の背後に立ったジョーカーが、『ジャッジスルー』で彼を蹴り飛ばす。

ジョーカー「とどめだ…。」

死神…暗黒の魔神が現れ、闇を纏ったジョーカーと共に空中に浮かび、漆黒の螺旋状のエネルギーを帯びたシュートを放った。

その螺旋に貫かれ、貫太郎、フレイム共に地面に叩きつけられた。

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