イナズマノベル2

第二十七話

第27話「NEXT LEVEL」


フットボールフェスティバル五回戦の相手は、優勝候補の一角・石ノ森SCだった。

壁山も復活し、新たなディフェンス技で抵抗を試みるが、終始圧倒され、遂に『正義の鉄拳』さえも破られてしまう。

更にシュートチャンスを逃し、ぐだぐだのまま延長戦に突入した…。


***

一之瀬「くそ…。」

一之瀬が拳を握り締めて、悔しさを堪える。

後半戦終了直前、『ダークフェニックス』を放つも失敗に終わり、雷門イレブンの士気はガクッと下がった。

疲労と無力感で、誰も喋らず、無言のまま時間が過ぎていく。

そんな静寂を打ち破ったのは無論熱血キャプテンだった。

円堂「どうしたんだみんな、元気出そうぜ!確かにシュートは決まらなかったけど、まだチャンスはある!延長戦も積極的に攻めて、勝ちに行くんだ!」

豪炎寺「円堂の言う通りだ。みんな俺とシャドウにボールをくれ。2人で必ず点を決めてみせる。」

シャドウ「悪い…。」

それまで俯いていた、シャドウが口を開いた。

豪炎寺「!?」

シャドウ「俺は…もう戦えない…駄目なんだよ…俺の力で点を決めないと…。」

豪炎寺「何を言うんだシャドウ…!」

豪炎寺がシャドウの胸ぐらを掴む。

豪炎寺「お前は雷門のストライカーなんだぞ。お前がこのチームの主軸だ。みんなの思いを踏みにじるつもりか!?」

シャドウ「…すまない…。」

見るに見かねた響鬼が割って入る。

響鬼「2人とも落ち着け。」

豪炎寺「俺は落ち着いています!」

響鬼「そういう奴に限って一番落ち着いて無いんだよ。…シャドウ、わかった。少しベンチで頭を冷やせ。」

響鬼がシャドウに言い放つ。優勢な立場であり、誰もが勝利を確信して浮き足立つ石ノ森とは対照的に、雷門サイドは暗く静まり返っていた。

一之瀬「ですが監督、シャドウがいなければ雷門の戦力が下がります。只でさえ負傷者が多いのに…。」

響鬼「俺は力が有っても意欲が無い奴と、怪我をしていても意欲が有る奴なら、後者を試合に出す。なあ、風丸、試合に出てみないか?」

急にベンチで横たわる風丸に話が振られた。

皆の目が風丸に注がれる。

風丸「(まさかの俺起用かよ。どうしよう…此処で断ったら、シャドウみたいにみんなの信用無くすしなあ…此処は空気を読むか、それとも此処で寝てるか…。)」

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