イナズマノベル2

第二十二話

第22話「財力VS王者」

稲妻総合病院で探偵:探田偵人から聞かされた事実。フットボールフェスティバルに関わる影山と、裏の支配者:ジョーカーの存在。

響木達から棄権することを勧められるが、円堂達は、危険を承知でそれを拒否、戦い続ける決意を固めた。

一方、まだ四回戦が行われていない帝国学園に、対戦相手の男が訪ねてきて…。


***
鬼道「わざわざ何の用だ。まさか、棄権すると言いに来た訳じゃあるまい?」

練習中にいきなり現れた日本 一に、鬼道が問う。

緊迫した雰囲気の帝国イレブンは、彼の言った『取引』という言葉に戸惑いを隠せない。

一「ハハハ、惜しいな。棄権するのは僕達じゃなくて、君達の方さ。」

帝国イレブンがどよめく。

鬼道「何だと!?」

鬼道が詰め寄ると、一は右手の人差し指を上げた。

一「一千万…。」

鬼道「何?」

一「一千万だ。いや、王者・帝国学園の君らには少な過ぎるかな。君らの好きな金額(但し上限はあるよ。)で、四回戦の勝ちを僕らに譲って欲しいんだ。」

帝国側のどよめきが大きくなる。

今まで実力で相手を倒してきた帝国学園にとって、初めての相手だった。

鬼道「要するに金で勝ち星を譲れ、と。」

一「そういうこと。悪い話じゃ無いだろ?君らが王者だとしても、512チームの頂点に立つのは難しいと思うんだ。負けても金が貰える方が、戦い続けるリスクを考えたら得だよね。」

一はまだ喋り続ける。

一「あ、ちなみに、一回戦の相手は百万で話に乗ってくれたよ。二回戦は経営難に陥ってるクラブチームでさあ…一千万出したら喜んでリタイアしたよ。クラブ運営の資金にするんだってさ。役に立てて、僕らも嬉しいね。三回戦は…笑っちゃうね、一万円で負けてくれたよw」

自らの財力と、金で相手を支配する様を、一は自慢話のように語り続けた。

一「勿論君らも、勝ちを譲ってくれるよね。」

一の射抜くような鋭い視線が、鬼道のゴーグルに注がれる。

喋り方や外見には似つかわしくない威圧感に、全員が気圧される。

鬼道「断る。」

一「…何?」

今度は一が戸惑う番だった。

鬼道「俺達は紛いなりにも帝国学園のメンバー。勝ちを金で譲るということは、帝国学園の誇りも売ることになる。そんな取引は無意味だ。」

一「負けても金が貰えるんだよ!?断る必要は無いじゃないか!」

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