イナズマノベル2

第十二話

第12話「忍び寄る危険」

黒服A「アニキ、良かったんですかね?」

黒服B「何の話だ?」

此処は都内の高速道路。
そこを走る黒い車の中で、こんな会話が交わされていた。

黒服A「ほら、雷門のガキを痛めつけたら金が貰えるって話ですよ。」

黒服B「そのことか。まあ良いじゃねえか。ガキには悪いが、少しばかりボコボコにしたくらいで大金が貰えたんだ。お前まさかびびってるのか?」

黒服A「いや、そんな…。もう済んだことだから気にする必要は無いですよね。」

黒服B「その通りだ。後ろから殴ったから顔は見られてねえし、トイレの近辺は人が少ないからバレる心配はない。」

黒服A「さすがアニキ。それにしても、物好きな奴もいたもんですね。ガキを痛めつけただけで金をくれるなんて。ええと、名前はなんて言ったかな…確か、カゲ…」

黒服B「馬鹿、そいつの名前は…」

黒服Bが名前を言った時、丁度彼らの車の横をトラックが通り抜け、その轟音にかき消されて全て聞き取れなかった。

といっても、彼らの会話を聞く者は誰もいないのだが…。



黒服の男たちがそんな会話をしているのと同じ頃、壁山は急いで病院に運ばれた。


病院の待合室では沈んだ面持ちの雷門イレブンが思い思いの行動をとっていた。

円堂「どうだった。秋。」

椅子に座って自販機を眺めていた円堂が、木野に聞いた。

木野「先生の話だと…全身を堅い物で殴られたみたい…。特に足が酷くて…入院の必要があるって…。」

円堂「そんな…それじゃ壁山は試合に出られないじゃないか!!」

栗松「壁山…。」

その時…

サク「お前、雷門の円堂って奴だろ!」

壁山の弟のサクが円堂に近寄ってきた。

円堂「お前は確か…」

サク「兄ちゃんは雷門のエースなんだろ!?返してくれよ!!俺の自慢の兄ちゃんを返してくれ!!」

サクは円堂に掴みかかって泣き喚いた。

円堂は何も言い返せない。

壁山母「サク!止めなさい!」

壁山の母がサクを叱咤し、円堂に小さく会釈して去っていった。


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