パチパチ


洋一×努力…かな?



―――――――



「師匠、」

その声がもっと聞きたかったから、僕は返事をしない。

その声でもっと僕を呼んで欲しいから、僕は返事をしない。


呼ばれた事に気付いてないかのように、歩いていた足を早々と進めていく。
そんな僕に振り向いて欲しくて何度も僕を呼んくでる姿は、とても愛らしい。
こんなことを勝利マンたちに言ったら生きて帰れないだろうが。

「師匠ー!!聞こえてます??」

相手の馬鹿でかい声が鼓膜まで鳴り響いてくる。
もしこれ以上声を大きくされたら、いつか鼓膜が破れてしまいそうな勢いだった。
それ以前にそろそろ振り向いてあげないと、きっと寂しそうな表情で立ち止まり、自分が何かしたのかと勘違いしてしまうに違いない。

「師匠ぉ…」

ホラ、段々声が弱々しくなってきた。
わかりやすい奴。
もー、しょーがないな。

「何だよ努力、そんな泣きそうな顔して」

「師匠、私…何かしたでしょうか…」

「うん、したよ」

その一言に驚くなり、一気に顔が青ざめていくのがわかる。
それと同時に、何をしてしまったのだろうかと頭をフル回転させて考え込んでしまった。

そんなに考え込んでも、答えは出やしないだろうに。

ちょっとした意地悪と言うヤツだ。
それから暫く静かな時間が続く。
考え過ぎて呻き声をあげていた努力は、ガックリと肩を落とすと、僕の方を見て泣きながら土下座をして来た。

「……っ、すいません師匠!!努力して考えてはいるのですが、何をしてしまったのかわかりませんッ!!」

本当に、可愛い奴。
素直で、まっすぐで、涙もろくて、少し五月蠅いけど、僕にいつも慕ってくるそんな努力が大好きだ。

お前は僕だけを見てくれればいい。
そして、僕だけを呼んでくれたらいい。
名前で無くてもいい。
その声が僕を呼ぶ度に、なんだか嬉しくなるんだ。

「努力」

まだ土下座をしていた努力に優しく微笑みかけた。
慌てて顔を上げた相手は、こちらを涙を流しながら見つめてくる。

「は、はい!!」

よく泣く奴。

「努力」

でも、そんなお前が好きな僕。

「…?師匠?」

もっと僕を呼んでよ。

そう言ったら、どんな反応をしてくれるかな?
首を傾げて何故だと問うだろうね。



…なら、別の言葉を言おうか。

きっと、りんごのみたいに真っ赤に顔を赤く染めるだろう。



「師匠…?」

「努力、―――僕は、お前が好きで好きでしょうがないみたいだ」










*もっと僕を呼んで*





END




あとがき

なんだか、洋努になりきれてないようなきもしますが…
最後までお読みいただき、
ありがとうございます!!
他に何かございましたら
↓↓にてお申し付け下さいませ^^

拍手ありがとうございましたっ!!





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