人肉経

2013年04月14日(日)
【色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年】
春樹の新作をファミレスで読み終え、自転車にのって帰りながら、あるまとまった思想と記憶が思い起こされたのでたまには書いてみようと思う。

読み終えて感じたのは、この物語が未完であるという印象である。「あーここで切ってしまうのかー」という想いがつのっている。今まで他に春樹を読んだことがないから知らないが、音楽におけるフェードアウトを用いた気がしてならない。作品自体、ふんだんにクラシックやジャズの名詞がちりばめられているようであるし、音楽を愛する心がこのような物語をつくるのかもしれないという作者の心理らしきものが全く分からないでもない。

次。読み終えてわたしは私自身の現実へと引き戻されるわけであるが、ここに見えている風景が何か新しくなったという意識が全くない。それは美術館に行くとよくあることで、世界がうつくしく見えるというのは芸術の名においてなせる業であると考えている。しかし、今回はそのような現象が特に起こらなそうである。時間を空けるうちに世界は徐々に見え方を変えるのかもしれないし、作品のなかに自分の記憶をフラッシュバックさせるような箇所があって、それはもしかしたらこの本をよまなければ味わえなかった体験ではあったかもしれない。しかし私は今、芸術とおなじように「文芸」を欲している。文芸とは言語芸術であり、芸術であるからには、今認識しているこの世界のありさまの破壊と再創造を願うのである。確かに世界観はおもしろい、しかし私は閉鎖空間に閉じこもることを今、良しとはしたくないのである。

最後に。春樹の作品にふれて、高校のときに国語の先生がたまに春樹の話をするのを思い出した。彼によると、春樹にはまった人は「夏の汗まみれになったTシャツのような白」という表現をもちいるようになるらしい。まあ今かんがえてみれば、その先生もさることながら、高校国語の先生は個性的な人ばかりであった。その先生は「アベレージ」という名で小説を書くらしいし、ほかにもガマガエル先生、メルヘン先生、フランケンシュタイン先生などがいらっしゃった。今はだれもかれもどうしているのだろうか。ゆめで会いましょう。

では。

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