駄文置き場
オモイデ
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【ウォルフィ】

「じゃーんけーん ホイ!」
「お、体育委員が鬼〜!さぁ、みんな隠れろ〜!」
ディーノ邸に響く子供たちの楽しそうな笑い声とじゃんけんの掛け声。
そう、今日のクラブ活動はどうやらかくれんぼのようだ。
ウォルフィはディーノ邸に植えてある大きな木の下で目をつぶり数を数える。
部長であるシュウの掛け声と共に一斉にあちこちに散らばる。ディーノ邸の外にさえも散り散りになる。ニューヨーク全土のかくれんぼのようだ。しかし、なんと膨大な・・・
「・・・・やっぱり・・・ここよね」
広大な広さのかくれんぼのことにはもうすでにシュウにチョップをかましたがだめで、あきらめたメグが隠れたのは、メグの家。ここなら十分住みなれているし、まさかここに隠れているなどおもわないだろう。
メグもやはり子供。楽しいものは楽しいのだ。
「ここが・・・いいんだな」
いつでもおっとりしているマックも楽しそうにハンバーガーショップの二階に入ってゆく。
「ここで・・・いいや・・・」
普段見られないような嬉しそうな顔をしていつも乗っている車のトランクに薔薇状態のグリードーとともに入る。さすが、ディーノ宅の車、といったところだろうか。大人でもすっぽり入れてしまうくらいの大きさだ。
それぞれパートナーのレジェンズも一緒の場所に隠れた。しかし、シュウとシロンだけは違った。
「ここがいいか」
シロンは渋々かくれんぼをしていてテキトーに決めた。そこはいつもの秘密基地だった。
「――――さてと・・・探しに行くか・・・」
もちろん、部長であるシュウを探しに。
ウォルフィがまず向かったのは屋敷の中。
灯台下暗し。数を数えていた木の上にシュウがいるのも判らずに・・・
――――数分後
「誰もいねぇじゃねぇか・・・」
少しいらいらしはじめたウォルフィ。
「ふぅ・・・」
先ほどの木の下に座り込み休憩をとろうとした。
ガサガサ――――
「?」
木の上から葉が擦れる音が聞こえる。おかしいと思い見上げると――――。
「部長!みぃ〜つけた!」
「んな事言ってないで助けてくれ〜!!」
シュウは半べそをかきながら
木の枝にしがみ付いている。
「分かった分かった。よっと!」
ウォルフィはシュウを抱きあげ木から下ろす。
「はっ!Σ( ̄A ̄)見つかっちまった〜」
「ルールだからしょうがねぇだろ」
「はぁ・・・」
「ほらほかの奴ら探しに行くぞ」
「わかったよ・・・」
「・・・」
シュウのあまりの暗さにちょっとびっくりするウォルフィ。
このままではいけないと思った。
「しょうがねぇなぁ・・・取って置きのところに連れて言ってやるよ」
「ほんとか!?」
とたんに元気になったシュウ。厳禁な奴、と思いながらもやはり元気なシュウがすきなのだ。尻尾が嬉しそうに振れている。




そんな事でかくれんぼそっちのけで(ウォルフィにして見ればはじめからそのつもりだったが)そのいいところに連れて行くことになった。
「ついたぞ。」
「うわ〜!すげぇー!」
シュウが驚くのも無理はない。
広大な草原。シュウの好きな風までふいている。その風でそこに生えている草花や葉が揺れていてとても美しい。そう、そこはまさに本当の自然なのだ。
花の近くには蝶が舞い、花の蜜の香りがなんだか気持ちいい。
「シュウ・・・」
「ん?・・・!///」
ウォルフィの突然の呼び出しにちょっと驚きはしたが、向く。だが向いたとたんに口付けをしてきたのだ。当然シュウは真っ赤になる。
「シュウ・・・大好きだ」
「・・・ありがとう」
シュウの"ありがとう"は小さな声で聞こえなかっただろうが、ウォルフィはそれでも満足だった。"大好きだ"とやっといえたのだから・・・




【ウォルフィ 完】
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