連載
遭遇
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「うわ〜、昔のまんま」
「なつかし〜」
ちょうど外には時計がある部屋に出る。意外と広いな、と思いながら真ん中に置いてある木造の机と椅子に向かう。
もうすでに役目を終えているのか時計の外の大きな時計の針は微動だにしない。しかもこの部屋は長い間掃除をして―されても―いない。ので、俺でも見て見ぬフリなど到底できないほどにかなり埃っぽい。
「ここも昔のままだ〜」
「この窓から見える景色、懐かしいな」
そこには、小さな円形の窓が2つある。壁際には時計の針を動かせるためにある大きな歯車。ちょうど窓までたどり着くにはちょうどよい。
「あんときはまだちっちゃくてさ〜。このくらいしか届かなくて空しか見えなかったよな〜」
いいながら、俺たちはすこししゃがむ。
「そうそう!」
そう言いながら、カシャカシャとメグが黄色いカメラのシャッターを切る。
僕は小学校に上がる時くらいにお父さんの仕事の都合で日本から越してきた。おじいちゃんの働いてる職場もここにあるということでおじいちゃんとも一緒に住んでいる。だから、まだこの雰囲気になじめていない。
と、古い棚に置いてあるこれまた古びた箱をマックは取り出す。それはしかし、なぜか白い埃の布団をかぶってはいなかった。
「これ見てほしいんだな」
「お〜!まだ残ってたんだ〜。俺たちの宝物箱」
その箱から出てきたものは、シュウたちの小さな頃の写真。小さなシュウたちがハンバーガーを食べている写真。シュウがメグにしがみつきながら泣いている写真。いろいろな写真がそこには入っていた。当然―――そこに僕の姿はない。
「懐かしいな〜。この後にショウとあったんだよな〜」
「そうなんだな。懐かしいんだな〜」
マックがそういうと、不意にシュウが
「ここ、また秘密基地にしようぜ!」
「それはいい考えなんだな〜」
「賛成!じゃあまずは、ここの掃除ね」
「ま、マジかよ〜!」
見て見ぬフリはできないのだがやはり掃除はやりたくない。当然のようにそれはメグから却下されるわけなんだけど。
「当たり前でしょ!鞄を家に置いてきたらすぐに集合よ!」
此処に入ってきたときと同じように時計台から出、悲鳴なのかなんなのか分からない奇怪な声をシュウは上げた。
一旦俺たちは解散した。小さな窓にこれまた小さな白いねずみがチョコンと座ってその光景を見ていた。
「ガガ…」
小さな飛行帽らしきものをかぶっている白いねずみは変な鳴き声を発して風を感じていた。

「まったく…!シュウは来ないのは当然だけどショウまで来ないってどういうこと!?」
秘密基地で一人掃除をしているメグが愚痴る。しかしながらさすがはメグ。テキパキと手馴れた手つきで掃除をしている。その光景はビデオを早送りで再生しているようにも見えた。
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