【マネ×タツヤ】


こんなことしたって、どうにもならないけど。

淋しさで、どうにかなっちゃいそうだから。


少しの間なら、イイよね?
あいつも許してくれるよね?





「竜也さん、竜也さん」

「ん……?」

「もう遅いんで、俺行きますね」



肩を揺られた。

気付いたらシーツが身体に巻かれていて、何時の間にやら寝ちゃったみたい。

重たい目を甲で数回擦ると、ワイシャツを羽織って立ち上る大瀧の姿。


その背中を見ていたら、あいつを思い出しちゃって、


「……やだ、いくな」


腕を伸ばして裾を引っ張った。

振り返った大瀧は腕時計と俺を交互に眺めて、困ったように微笑む。


「今日中に事務所に戻らないといけないんで。ね?」


掴んだ指を一本一本外されてシーツ越しに抱き締めると、俺よりも一回り大きな手のひらに目元を擦られた。

仕事中だっただろう大瀧を呼び出して、自分勝手に組み敷いたのに、大瀧は怒らない。

寧ろそんな俺を受け入れて優しくしてくれた。その時の感触があいつそっくりで、こんなことしちゃ駄目だって頭ん中では分かってたのに。身体はこの温もりを離したくなかったんだ。


今だってそうだ。


「いかないで」

「竜也さん……」

「ここにいて」

「それは……」

「お願い、――リョウ」




甘えすぎだ、俺は。相手の優しさに付け入って。あいつを悲しませようとしてる。



最後は余計、淋しい思いをするだけなのにね。



……………

撮影と舞台でなかなかケイイチさんと予定の会わないタツヤさん。
ケイイチさんの代わりに、マネに癒しを求めてほしい。


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